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5)こうした不合理は、大規模改良が歴史的に積み重ねられてきた他のターミナル駅にも、共通してみられる。
6)東西南北キーを改札口に用いるコード設定法は、実質的に改札口がそのまま街の玄関口である構造の駅には適しているが、調査駅のように、一つの鉄道で改札口が3ヶ所以上あったり、改札口の位置がターミナル駅の内部に取り込まれているなど、改札口の方位表示がその施設の絶対的な座標軸になり得ない構造の駅には適していない。
7)ターミナル駅全体を一つの案内域として捉えて、矛盾のない語句を用いたコード設定の検討が必要である。

 

4.情報表現のプライオリティ設定
1)第1項でみてきたように、ターミナル駅構内にある施設は、全てその位置方向が示される必要がある。
しかし誘導サインにおいて、この全てを対等に表現することは量的に不可能である。
仮に表現しようとすると、文字が非常に小さくなって移動しながら読みづらく、また多すぎて必要な情報を選択することが容易にできなくなるという性能低下が発生する。
誘導サインには、動線上の利用者流動をスムーズにする観点からも、表現上のプライオリティ設定が必要である。
2)表現上のプライオリティを設定する基準を、ターミナル駅の利用目的に準拠して、
a.第1順位=基本動線上の目的施設である各鉄道改札口と各駅出入口
b.第2順位=交通手段であるアクセス交通施設、情報提供拠点のインフォメーションセンター
c.第3順位=構内にある営業施設、サービス施設
d.第4順位=複合している商業施設とする順位設定が考えられる。
昇降設備がある場合は、第2順位に位置づける。
3)このうち高位の情報を誘導サインに表現する方法が考えられる。
誘導サイン表現できない施設の位置方向は、案内サインを用いて表現することが可能である。
4)誘導サインに、第1順位の情報を他の順位の情報よりも優れた視認性能を与える方法によって表現すれば、サインシステム上にターミナル駅の基本動線を浮かびあがらせることができる。

 

4-2 環境整備上の留意点
1.視覚的な要素のプライオリティ
1)ターミナル駅には、視覚案内のほかに、次のような誘目性の強い視覚的な要素がある。a.商業広告
b.横断幕などの鉄道会杜のキャンペーン・ツール
c.公共団体等からの依頼広告物
d.構内売店とその看板類

 

 

 

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